今回はサロントリートメントのお話です。
サロントリートメントは髪に良いものもあれば、逆にダメージしてしまうものがあります。
トリートメントなのにダメージする???って聞くと驚きますよね、でもこれ本当なんです。
この記事を読むことでサロントリートメントの「メリット」と「デメリット」が見えてきますよ。
「美容室でトリートメントをしているのに髪の状態が良くならない」と悩んでいたり「サロントリートメントに意味あるの?」と疑問に感じていませんか?
トリートメントには大きく分けて
①薬剤からのダメージを柔らげるタイプ
②髪内部に働きかける内部補修タイプ
③コーティングタイプ
この3つの種類があり、その中でも髪のダメージに繋がるのは、、、、③のコーティングタイプ これが髪に良くありません。
コーティングタイプのトリートメントは手触りが劇的に改善するのでお客様の反応も良く最も普及しているトリートメントの一つ、しかし効果がなくなって時間が経つと前よりも毛先の状態を悪く感じる方も多いはずです。
美容師さんに勧められてトリートメントを繰り返しているのに毛先を毎回切らなければならない、、、こんな体験をされたことはありませんか?
コーティングタイプのトリートメントは強い膜で手触りを改善し艶も出ますが、髪の正常な働きを失わせカラーやパーマの薬剤ダメージを進行させます。
きれいになるためにトリートメントをしていたのにトリートメントでダメージを受けるなんて本末転倒ですよね。
キレイな髪を維持するためにもトリートメントとダメージの関係についてもう少し詳しく見ていきましょう。
トリートメントに修復効果はない
サロンに限らずCMなどでも「〇〇の成分が髪を補修~」なんてよく見かけますよね、補修と修復の違いはご存知ですか?
「補修」とは、壊れた部分を別の成分で補うこと。→壊れた橋に板を貼り付けてなんとか渡れるようにする
「修復」とは、壊れたところを元どおりに直すこと。 → 壊れた橋を元通りの状態にする
髪は補修はできても修復はできません。つまりどれだけトリートメントを繰り返してもダメージがなくなるわけでは無いんです。※法律上も「修復」という言い方をしてはいけません。
1.髪は死滅細胞
通常ヒトの体はケガをしても自然に回復していきますよね、これは細胞分裂による自己修復能力が機能しているからです。
しかし髪の毛は爪と同じで死滅細胞でできています。
死滅細胞は神経が通ってないため損傷を受けても傷みを感じず、増殖や再生する能力も持たないため自己修復力がありません。
一度受けたダメージは回復することができず減点方式で蓄積されていきます。
カラーをすると – 50点、ドライヤーの使用で – 3点=合計 – 53点、、といった具合にダメージはどんどん溜まっていくんですね。
2.トリートメントはコーティング剤
トリートメントで手触りが良くなる正体は、シリコンなどの油分で髪の表面を覆うコーティング作用によるものです 。
シリコンなどのコーティングはキューティクルの隙間を埋め、手触りや艶を大幅に改善する作用がありますが、髪内部のダメージに働きかける事はできません。
つまりダメージして悪くなった手触りや見た目をごまかしているにすぎないのです。
3.トリートメントの効果は一時的
コーティングの効果で手触りや見た目が良くなりますが、毎日行うシャンプーや生活の中で受ける摩擦で剥がれ落ちていきます。徐々に元の髪の状態に戻っていき髪のまとまりも悪くなっていきます、効果は一ヶ月も持ちません。
美容師室で『トリートメントを続ければ続けるほど髪が綺麗になる』と言われたりしますが、ダメージを隠しつづけているだけなんです。
コーティングで何故傷んでしまうの?
髪のダメージをコーティングでごまかす事は悪いことではありません、バサバサの髪でいるよりキレイに見えるほうがいいに決まっています。
しかしその行為がダメージにつながるとしたらどうでしょうか?
サロンでトリートメントを続け、半年、、1年と経った時、、、髪の状態は良くもならないし維持もできません、ダメージをごまかすばかりかむしろ悪化します、毛先は切るしかありません。
トリートメントがダメージになる原因は大きく分けて2つあります
薬剤の残留を助長する
残留薬剤が髪にダメージを与えることは昔から知られています。しかしトリートメントに含まれるコーティング剤が残留の手助けをしてしまうことはあまり知られていません。
本来自宅のシャンプーで徐々に洗い流されていくカラーやパーマの残留薬剤がコーティング作用で洗い流されることなく、長期間残っていたら髪はどうなるでしょうか?当然ダメージになりますよね?
施術後に行われるトリートメントはカラー・パーマの仕上がりをよく見せる(ダメージ感を分かりにくくする)だけで髪に良いものではありません。
コーティング作用で水分調節機能が働かない
肌を例に考えるとわかりやすいですが、ファンデーションをずっとつけたままでいると肌は荒れていきます。
髪と同じ死滅細胞でできた爪はどうでしょう、マニキュアやジェルネイルをずっとつけたまま過ごすと自爪は傷んでいきますよね、これは髪の毛でも起こるんです。
髪は本来キューティクルを閉じたり開いたりして水分量を調節しますが、強力なコーティングによって正常に働かず、水を含んで膨潤したままの状態になったり、過度に乾燥したりを繰り返しダメージを加速させていきます。
私達美容師はたくさん見てきて知っているんです。
カラーもパーマもしていない健康な髪がコーティングの強い市販製品でどんどんダメージしていく姿、、
サロンのトリートメントもコーティングに重点を置いたものは同じ結果になっていきます。
サロントリートメントをするなら
もしサロンでトリートメントをするなら手触りを良くするコーティングタイプではなく、内部に働きかけるトリートメントやカラーやパーマなどの薬剤から髪を護るトリートメントをしてもらいましょう。
しかし、これらのトリートメントにもちょっとした問題があるんです。
髪内部に働きかける内部補修 の効果はわからない
髪の内部に働きかけるトリートメントは1回の施術でその効果がわかりません。
なぜなら表面のキューティクル部分に作用しないから、、、見た目や手触りに変化が出ないんですね。
髪内部では水分量を上げることで弾力やしなやかさ、過度な乾燥を防ぐなどの効果を持ち、日々の生活で受けるダメージを大幅に軽減する効果があります。
長期間継続して行うことで徐々に髪がキレイになっていきます。
ですが見た目や手触りの効果が感じられないのに半年~1年とトリートメントを継続してくれるお客さんはまずいませんよね。
薬剤からのダメージを柔らげるトリートメントも
薬剤から髪を護る(ダメージを和らげる)トリートメントも同様に1回で効果を感じることはありません。
確実にダメージを減らすことはできるんですよ、、、ですが髪自体は薬剤でダメージするのでトリートメントをした意味ないよね?ってお客さんは思っちゃうんです。
でもよく考えてみてください。髪の毛は減点方式でダメージがひたすら蓄積されていくんです。
ダメージは蓄積される、、つまり?
ダメージは回復されず減点方式で蓄積されていきます。
カラーで毎回50点減点されるものが薬剤ダメージから護るトリートメントで30点に抑えられたとしたら、それを複数回繰り返したとしたらどうなるでしょう?
トリートメントなし・・・・ – 50点のダメージ
トリートメント有り・・・・ – 30点のダメージ
1回の施術では大きな開きがないのでわかりませんね。
でも2ヶ月に1回のカラーを1年続けるとどうでしょうか
トリートメントなし・・・・ – 50点×6回= – 300点のダメージ
トリートメント有り・・・・ – 30点×6回= – 180点のダメージ
最初の1回目は20点しか変わらなかったものが繰り返すと120点も開きましたね、
繰り返した先にダメージを少なくする重要性はなんとなくご理解いただけたでしょうか?
内部補修もダメージ軽減もトリートメントをしたその時の効果はわかりません、ですが1年後、2年後の髪の毛に蓄積されるダメージの量は大きく変わってくるんです。
残留薬剤除去も大切
薬剤からの直接ダメージを減らすトリートメントも大切ですが、家に帰ってからも残っている残留薬剤を美容室側で少なくしてもらう事も大切です。
どんなにいいお薬を使っても0にはできませんが大幅に減らすことができます。
残留薬剤の除去に別途料金が発生するお店はあまりありません 。(メニュー価格が安いお店は別料金だったりします)
髪のことを真剣に考えてくれるお店はホームページに記載をしてくれていたり、書いていなくても「残留薬剤の除去はしてくれますか?」と問い合わせをすれば納得できる回答をしてくれるでしょう。
美容室側で行っていない場合やご自宅でもしっかりケアしたい方は、ヘマチンやカタラーゼ、SOD(スーパーオキシドジムスターゼ)が入ったシャンプーで対策が可能です。
ホームケアの大切さ
トリートメントの良し悪しについてご説明させて頂きましたが、これは美容室での話に限らずご自宅で毎日行うシャンプートリートメントにも言えることです。
【手触りの良い=コーティング力の強い】シャンプー・トリートメントは髪にダメージを与えます。
トリートメントの頻度は減らす
市販のトリートメントの多くはシリコンで髪に皮膜を張って手触りを良くするものがほとんどです。
内部補修と記載されていても実際に補修と言えるほどの効果を持った製品はまず無いでしょう。
市販トリートメントはサロントリートメントに比べてコーティングの効果は弱いですが、毎日行うことでサロントリートメントを超える強力な被膜になります。そうなってしまうと髪には大ダメージです。
自宅で行うトリートメントは強力な被膜にならないように週に1~2回と頻度を減らして行いましょう。
トリートメントをなじませる部分はダメージ感の強い毛先部分のみでかまいません、なじませた後は過剰に髪に残らないようにしっかりすすいでくださいね。
適切な回数、方法であれば髪を保護するために有効な手段です。
頭皮・髪の保湿を心がけよう
素の髪を育てるにはまず髪に付いた過剰な被膜をシャンプーでしっかり洗い流して髪をリセットしてください。
シャンプーだけでは乾燥を招くため保湿が必要です、頭皮や頭髪用の化粧水を使用すると良いでしょう。
髪の保湿に加えて頭皮にも潤いを与える事で健康な髪を育むことができます。
CMC配合のシャンプーを使おう
トリートメント無しで少しでも今のダメージを抑えたい方は、CMCが配合されているシャンプーを使用してみましょう。
CMCは補充してもすすぎで簡単に流れ出てしまうため、大きな効果をすぐに出すことはできませんが継続することで髪の水分量を高めダメージを受けにくい髪になります。
日常生活のダメージを抑えよう
キレイな素髪を育てるためには日常生活で受けるダメージを抑えることが大切!
紫外線や熱、摩擦をどう軽減するか、またシャンプーに含まれる洗浄成分について別の記事でお話していますのでぜひご覧ください。
まとめ
サロンで行われるコーティングのトリートメントは髪表面に強い膜を張り、髪の水分調節機能を低下させたり、薬剤の残留を長引かせてしまうためダメージの元になります。
サロンでトリートメントをするなら薬剤ダメージを減らしてくれるトリートメントや内部補修に重点を置いたトリートメントをしてもらいましょう。
コーティングタイプのトリートメントは一日で劇的に髪が綺麗に見え手触りが良くなるので続けてやりたいと思ってしまいます。
ダメージをごまかすだけなら良いのですが、ダメージを進行させてしまうとスタイルの維持やチェンジが思ったようにできなくなる場合があります。
美容室で言われたとおりにしていても髪のダメージがなかなか改善されないなどお悩みがある方は美容室を変えてみるのも選択の一つです。
髪に蓄積されるダメージは毎日の積み重ねで少なくすることができます。
トリートメント(コーティング)でごまかすのではなく、適切なケアでダメージを少なくすることを心がけましょう。
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